残りの仕事を黙々とこなす。

その間に、デリバリーは届けられ夕飯の準備は整った。

30分は経ってるだろうか…。

なかなかお風呂から上がってこない果穂が心配になる。

「果穂、大丈夫か?」
洗面所から声をかける。

返事がしない…、戸惑い、嫌な予感がする。
 
「果穂⁉︎どうした、開けるぞ!」
バッと扉を開け浴室に入る。

果穂が浴槽に寄りかかり目を閉じている。

慌てて、ザバァーっと浴槽から抱き上げ、
バスタオルを身体に巻き付ける。

手首から脈を取る。

トクトクと脈が伝わり、はぁーっと息を吐き安堵する。

スースーと寝息が聞こえ、思わず、抱き抱えたままその場に座り込む。

そうだった…
亮太から風呂で寝る事があるから、
気を付けてと忠告された事があった事を思い出す。

びっくりさせないでくれ……。

俺自身は、びしょ濡れになった服を脱ぎ捨て手早く着替える。

彼女を乾いたバスタオルで包み直し、ベッドに運ぶ。
ベッドはまだひんやりして、ほぼ裸の果穂を寝かすのに躊躇する。

湯たんぽ代わりに一緒に添い寝する事にするが、
水分は大丈夫だろうか?

脱水症状になって無いか?

添い寝しながらいろいろ心配してしまうが、
規則正しい寝息を聞いていると気持ちも落ち着いてくる。

無防備で可愛い妻を思いがけず堪能する時間を得てしまう。

こんな可愛い彼女を泣かしたのは一体誰なんだ…。

怒りを覚えながら、マシュマロのような白い頬をそっと撫ぜる。