ブルルル、ブルルル

サイレントにしてあるスマホが震える。

画面を見ると翔さんからだった…。

安堵と共に涙が溢れる。

心配させちゃうかも、と思うが…、
電話に出ない方が心配させるだろうと思い直し通話をタップする。

「…もしもし。お疲れ様です…。」

『お疲れ様、……どうした?』
瞬時に気付かれる。

「だ、大丈夫。
今夜は寒いから、早めに切り上げようと思って…今、片付けに入ったところ。」

『そうか…、雪が降りそうだから心配になって電話してみたんだ。

……泣いてるのか?
果穂、どうした⁉︎
今から行くから切らずにこのまま繋げて。』
 
慌てた様な翔の声に、果穂は耐え切れなくて、嗚咽が漏れる。

『大丈夫だ。今、本社だから10分で行く。』
そう言って翔は本社を飛び出し、社有車に乗って果穂の元へ向かう。

『果穂?
大丈夫だから、キッチンカーの電気暗くしてcloseに出来るか?』

「…はい……。」

『キッチンカーの中で待ってて車のカギ施錠した方がいい。』

「…うん。分かった。」

『何か、温かい物でも飲んだ方がいい。
ホットチョコレートとか、
チョコレートは気持ちを落ち着かす効果があるらしいよ。』
普段からそんなにお喋りでは無い翔さんが、
私を落ち着かせる為に声をかけ続けてくれる。

それだけで心がいっぱいになって涙が溢れる。

自分の為に、ホットチョコレートを作りながら翔さんが来るのを待った。