5枚目の衣装を試着してから、

「すいません。ちょっと2人っきりにさせて頂けますか?」
翔がふとそう言って、スタイリスト達を下がらせる。

「どうしたの?」

突然、2人っきりになってなんだろうと
心配なる。
翔の方に振り向こうとした瞬間、
背後から抱きしめられて思わずビクッと心臓が跳ねる。

「ちょっと、愛想笑いも疲れてきた。
充電させて。」
果穂は、はっと気付く。
そうだった、昨夜も翔さんは仕事が遅くベッドに来たのは夜中の1時を過ぎていた。

「お疲れですよね…。
ごめんなさい。付き合わせてしまって、
今日はもう帰りましょ。」

「いや、大丈夫だ。
ただ、2人っきりになりたかっただけだから。果穂も気分転換が必要だと思って。」

あっ、私の為に…。

どれがいいか分からなくなって、ちょっとパニックになっていたのかもしれない。

「ありがとう。翔さん、ちょっと落ち着いた。」
果穂は照れ笑いしながら、後ろから抱きしめられた逞しい翔の腕を、ぎゅっと握りしめた。

慌てないで、一回持ち帰ってよく考えてみよう思う。

こうやって決まった翔の衣装は、
誰よりも優しい旦那様に、とても似合っていた。