部屋に戻り、 
そっと寝室を覗くとベッドはも抜けの空で、
一瞬血の気が引く。

慌てて他の部屋に探しに行こうとした所で、
風呂場からシャワーの音が聞こえて、
ホッとため息を吐く。

果穂の誘拐事件以来、
どうもトラウマになっていて、
果穂の行方が定かじゃ無いと心が逆立って仕方がない。

とりあえず脱衣室のドアを開けて、
確かめるまで落ち着かない。

「果穂、ただいま。」

「あっ、お帰りなさい。寝ちゃってごめんね…。」

「俺も一緒に入っていいか?」

「えっ⁉︎
ダメ‼︎すぐ出るから待ってて。」
果穂の慌てた声が聞こえて、
フッと笑って翔は心が正常に戻るのを感じる。

「分かった。待ってるから、温まって出ておいで。」
無理矢理押し掛けて、嫌われるなんて失態は犯したく無い。
大人しく廊下に出て果穂を待つ。