「もしもし、新田。
悪いが月曜までに調べて欲しい事が出来た。」

『お疲れ様です。
…大事な初夜に果穂さん放っておいて何してるんですか?』
新田の呆れた声が聞こえてくる。

「俺だってこんな日にこんな電話したく無い。
変な女がホテルに来た。
旧姓坂口麻里奈、今は宮崎麻里奈だと思う。
『trattorìaジージョ』社長夫人らしいが、
どんな奴らか調べてくれ。」

『なぜ、そんな人がホテルに?』

「俺に抱いてくれと言ってきた。
こんな日に…忌々しい限りだ。」

『はぁ⁉︎結婚式後の男になんで羞恥な…』
さすがの新田も言葉を無くす…。

「果穂に何か危害があるといけない。
急ぎでよろしく。
何か分かったら連絡してくれ。」

『分かりました、早急に調べます。
しかし…
社長の最優先はなんだって果穂さんなんですね。』
新田はそう言って、ため息を吐く。

『社長のスキャンダルは企業イメージに繋がりますからね。
最近じゃ愛妻家って売りで売り込んでいるのに、過去とは言え、悔い改めて下さいよ。』

「ああ、俺が1番後悔してる。」
まさか、新田に説教される日が来るとは…と、翔は苦笑いする。

『だけど…果穂さんといい貴方といい…
何故こうまで、ストカー気質な人間を惹きつけてしまうのか…』

「こっちが知りたい。」

『1人じゃ抱えきれないので、副社長には伝えますよ。』

「好きにしてくれ。」
翔は電話を切り、急いで果穂の居る部屋へと戻る。