茜「え?毎日って……部活やってんじゃん?」


樋口「部活ったってお遊びみたいなもんだろ」


と、彼には部活のことは眼中にないような言い方だった。


そして今度は広場の方へ移動した。


そこでも彼は彼なりのメニューを淡々とこなしていた。


私も見様見真似で彼の後を追い同じようにトレーニングした。


ただその運動量はかなりのものでしばらくすると私の息もあがってきた。


樋口「急には無理だろ、少し休んでろよ」


と、言われ私は悔しかったが彼のトレーニングの様子を見ているしかなかった。


そしてひとしきりのメニューをこなして彼はスポーツドリンクのボトルを手に取り水分補給をし始めた。


私はまた彼に問いかけた。


茜「ずっとこんなのやってんの?」


樋口「あぁ…」


と、言ってまたドリンクを一口飲んだ。


茜「いつからやってんの?」


と、聞くと…


樋口「小学校の頃からだよ」


と、単調な答えで多くを語らずに済まそうとしていたのが感じられたので私は…


茜「ふぅ〜ん……あたしじゃあ素振りしてくるよ」


と、言って彼と少し距離をとり素振りを始めた。


そしてその後も彼は淡々とメニューをこなしていた。




どれぐらい時間が経っただろうか…


彼の腕時計のアラームが鳴った。


彼はアラームを止め私の方を見た。


茜「あ、もう終わりの時間?」


と、言うと彼は…


樋口「あぁ…」


と、だけ答えて自転車を置いてある入口の方へと向かって歩きだした。


私も彼を追い公園の入口へと向かった。


ラケットをカバーに入れ肩に斜め掛けすると彼は、


樋口「じゃあ気をつけてな」


と、言って自転車にまたがり走っていってしまった。


私はロードバイクのスピードにはついていけないだろうと、


茜「また来週ねー!!」


と、彼の背中に言葉を投げると彼は左手を軽く上げてそのまま走り去っていった。




第十話へつづく…