この学校は歴史が長く明治初期に出来た女子校だったためグラウンドが狭くてバレーが2面とテニスが2面だけしかない。
野球部やサッカー部はバスで別のグラウンドまで行って練習している。
バレー部が体育館を使うときはテニス部が4面とれることになる。
とにかくテニス部はこのグラウンドしかコートがないので男子と女子は隣同士で練習することになる。
部活参加初日、
一年生が整列してキャプテンから説明を受けている。
ラケットを持っている子と持っていない子がいてそれで経験者かどうかは一目瞭然だ。
男子も女子も半々ぐらいではあった。
私も中学の部活はバレーでテニスは初めてなので持っていなかった。
ただ中学で軟式をやっていたものは硬式用のを買い換えないといけない。
そういった説明を一通り受けて次は校内を案内された。
コートはレギュラー選手が半分ほどの時間を使うのでその他の者は校庭の空いているところで基礎練や素振りに専念する。
校庭では吹奏楽部が個人練習していたり、やはり他の部もレギュラー以外は同じように基礎練に励んでいた。
こうして部活初日は終わった。
帰り道、中学で同じバレー部だった齋藤冬優花と一緒に帰っていた。
冬優花「ねぇ、ラケットどうする?」
茜「そうだね、次の日曜に買いに行かないとね」
冬優花「どんなのがいいんだろうね?」
茜「バレーは道具使わなかったからね」
冬優花「茜は運動神経いいからすぐにレギュラーになれるんじゃない?」
茜「そんなに甘くないでしょ?ソフトでも経験してるとしてないとじゃやっぱり違うよ」
冬優花「そっかなぁ…?でもやるならやっぱレギュラー目指したいよね」
茜「それはもちろんね」
冬優花「茜は負けず嫌いだからなぁ〜」
茜「何よそれ、バカにしてる?」
冬優花「いやいや、あたしだけ置いてかれないようにしないとなーて意味」
茜「そう言う冬優花だって負けず嫌いだし」
茜「練習試合で負けて涙浮かべて下唇噛んでんだもん」
冬優花「あれはだって…負けて悔しいって言うより、負けてんのにヘラヘラしてるみんなを見てたらなんか……ね」
茜「まぁね…」
冬優花「だから高校では団体競技よりも個人で頑張れる部にしたんでしょ」
冬優花「茜もそうじゃないの?」
茜「うん、まぁそう言うとこかな」
冬優花の言うことはもっともだった。
中学の部活では環境のせいもあったが緩く楽しくで終わっただけで手応えは全くなかった。
そんな思いもあって高校では何かに打ち込みたいと言う欲求があった。
それがテニスで正解なのかどうかはまだこの時はわからなかった。
第六話へつづく…