今年は絶対について行くと決めていた。
一緒に行きたいと言おうとした。
けれど勇気が出なかった。
断られるのが怖かったから。
「ではまた二学期に」
「うん」
そう言って運瑠は家を出た。
運瑠はなぜかギリギリまで帰ってこない。
夏休み、秋休み、冬休み、春休み。
全然会えない。
でも今年は……。
俺は運瑠が出てすぐに家を出た。
一応、俺も実家には帰るがすぐに帰ってくる。
あまり実家にはいたくないからだ。
帰ったら運瑠の話になる。
俺だけの運瑠なのに。
……運瑠はたまに寂しそうな顔をする。
泣きそうな顔。
そんな時は堪らず抱きしめてしまいたくなる。
だけどそんなことはできなかった。
怖がらせたくないから。
「ここが運瑠の住んでた村か。久しぶりに来たな」
昔、俺が幼い時に一度来たことがあった。
あの時から俺は運瑠のことを忘れられずにいた。
「?」
村の方が騒がしいな。
もしかして運瑠もいるかな?