「ありがとうございます」
私はニコッと笑った。
毎年帰ってくる度に褒められるな。
「今年は何日いるんだい？」
「えっと、夏休みが終わるギリギリまでいようかなと思ってます」
「そうなの？お友達とかはいいのかい？毎年ギリギリまでいるじゃないか」
「……」
ギリギリまでここにいたい。
「少しはお友達ともいた方がいいんじゃないかい？」
お友達なんて私には…いない。
桐野くんに話しかけるので精一杯なのに…他の人なんて。
私はグッと手を握る。
私には…ここしかないの。
「それに結婚科の高校は本当に大丈夫なのかい？」
「！」
「よく知りもしない人と結婚や一緒に住んだりするんだろう？」
「……」
「もし変な人だったら…」
『運瑠』
「！」
桐野くんは…。
「桐野くんは変な人なんかじゃない。優しい人だよ。私には…もったいないくらい素敵な人なの」
そう……私にはもったいないくらい。
桐野くんは私と一緒にいない方がいい。