不器用で話すのは苦手。
人込みが苦手……というより嫌い。
眠きゃ寝るだし……
自分中心だし、あたしの話しだって相槌しかうたないし、甘い言葉も言ってくれない、電話もメールも用件だけだし……

けど、出かけるといつもはぐれないように手を握ってくれて、買い物したら荷物は持ってくれて……記念日や誕生日だって忘れないでくれた。

ふと見せてくれる笑顔が大好きで、亮なりにあたしを思ってくれてる事に気付いてなかったんだ。

あたし、どうして亮の愛情に気付けなかったの………



「高岡君、ありがとう。
あたし……亮の所に行くね」

「あぁっ。頑張れ」

あたしは駆け出した。

「世話のかかる奴ら。うまくやれよ、亮」


※※※※

リングをじっと見つめる。
あたしが言った事を覚えててくれたんだ。

「華」


「……亮……」

亮はケースからリングをとると左手の薬指につけた。