「愛香〜!一緒に帰ろ!」

百合香が笑顔で駆け寄ってくる。

「うん!!」

あたしも、暗い気持ちを振り切るように、百合香に手を振る。

異変は、生徒玄関で起こった。

靴箱を開けると、ふさりと白い紙が落ちる。


「何コレ?」


あたしは拾い上げて裏返した。


「うわ!」


横から覗き込んだ百合香が声を上げる。

あたしの背中にも嫌な汗が伝う。

嘘でしょ…?


そこには、定規で書かれた文字があった。



「ヒトリデコウシャウラヘキナサイ」




えっと、これ、いわゆる「呼び出し」ってやつ?

悪意しか感じられないんだけど…

なんか、行かなかったらもっと酷いことされる…みたいな?


「あたしも、行こうか…?」


百合香が心配そうに言う。

あたしも、怖いけど…


「ううん。大丈夫。この紙にも『1人で』って書いてあるもんね。」


あたしは、一人で校舎裏へ向かった。




あたしを、待っているのは誰…?

伏見くん?
でも、伏見くんはこんな変なやり方はしない。 

じゃあ、八神さん…?
でも、あたしは八神さんとは接点はないし…

校長先生?
あたしの告発のことを咎めるかもしれないけど、わざわざ校舎裏に呼び出す必要はないよね?

佐藤先生?
…絶対ない気がする…
あの人、ほとんど生徒には干渉しない人だから…


もしかして…

あたしの頭に、最悪の状況が浮かぶ。

まさか…まさかね。