昼休み、伏見くんに呼び出された。

屋上の、例の柵のところで、並んで座る。


「なあ、清水……」

「なに?」



伏見くんは、静かに話し出した。


「アイツ…八神は、被害者だと思うか…?」

「え…?どういうこと?」


そんな、八神さんは、被害者に決まってるじゃん。


「一方的にいじめたのは、白神さんたちだよ。八神さんは、被害者だよ!」


あたしは、強く言い放った。


「そうか…。告発したのは、お前なんだな、清水。」

「あ…」


バレてしまった。

変なところでボロを出してしまった。


「あ…あの、伏見くん!」

「大丈夫。言わないから。」


伏見くんは、人懐っこい笑みを浮かべた。

———あたしの、大好きな笑み。



「亜希ーー!!なーにしてんだよー?」


いつものように、あたしと伏見くんの、邪魔をするのは、八神さん。

伏見くんは、渋々と立ち上がる。


「あのな、清水。お願いだから——」





————八神には気をつけろ————





あたしには、この言葉は、理解できなかった。

なんで、伏見くんは、八神さんのこと、そんなに毛嫌いするのか?

分からない。

八神さんは謎だらけだ。

あたしが、それを理解するのは、ずーっと、ずっと、先。