「………な、お〜い、柑奈〜?」


ガバッと起き上がる。

わ…、もう、みんな来てる!

あたしに声をかけたのは、彩綾だった。

あたし、そんなに寝たんだ…




「柑奈〜、先生がお話しするよ?」




麗華姫がクスクスと笑って言う。

うへっ…。

やらかした〜!

あはは………

あたしは虚しく頭の中で笑った。




「こーころあたりのある人は、申し出てくだーさい。」




かなり訛りの少なくなった佐藤が教壇で嫌に深刻そうな顔をする。




「昨日、体育館倉庫の鍵が壊されていた。中から盗まれたものはないそうだが、修理費がかかる。しかも、鍵が持ち去られていた。今なら弁償はしなくていい。心当たりのある人は、すぐに申し出て欲しい。」




教室がザワザワする。

これは、体育館倉庫の鍵が壊されていたことに対してではないだろう。

きっと、急に訛りがなくなった佐藤に対してだ。

普通に、標準語で淡々と話す佐藤は、かなり不気味だった。




「いないか?言いづらい人は、今じゃなくていい、今日中に言ってくれ。」




あたしは、みんなとは別の意味で冷や汗をかいていた。

鍵が…、壊されている?

なんで?



もしかして…

ぶーちゃんが…?



まさか…。