6時。

部活が終わる。

体育館の掃除当番が、順番的にあたしたちの練習班だったので、あたしたちは体育館に残っていた。

外からは蝉の声がうるさく聞こえる。

あたしたちは適度に手を抜きながら床にモップをかけ、カーテンと鍵のチェックをした。



「ねぇ、みんな、今日はバレエのレッスン行く?」



麗華姫が言う。



「行く行くー!」

「もっちろん!」



瞬時に返事をするななみんと彩綾。

あたしは……。



「ごめんっっ!!麗華姫、あたし、今日は家の用事があって…。」



あたしは手を合わせて言った。

麗華姫があっそという顔をする。



「うん、だったらしょうがないね。」



———嘘だよ。

家の用事なんて。


だって、家に帰って夕飯を作らなきゃ…。

部活で遅くなる時はバレエのレッスンなんて行っている暇はない。

早く家に帰らなきゃ……。




あーもう!!!

こんなこと考えちゃいけない!

あたしは、頭を振って気持ちを切り替えた。



「ぶーちゃん、おつかれ〜。おいで?」



あたしはぶーちゃんを呼んだ。

あたしの方に近づいてくる愛香。

あと5歩…4歩…3歩…2歩…1歩…。


あたしはみんなに目で合図した。