「僕はルレイア師匠の弟子ですから。師匠が行くところに、僕もついていきますよ」

との、ルーチェスからの有り難いお言葉です。

いやぁ、師匠冥利に尽きる。嬉しいですね。

「それにほら、ここでセルテリシアさんの誘いを断って、もし仕返しの為に『ブルーローズ・ユニオン』に目をつけられて、万が一セカイさんにちょっかい出されたら嫌だなーって」

という打算もあるらしい。

その可能性はありますね。

ルーチェスには自分の嫁、セカイさんというある種の「弱点」がありますから。

セルテリシアの誘いを断った報復とばかりに、自分の嫁にちょっかいを出されたら堪ったものじゃない。

なら、嫁を守る為にも、権力には素直に従っておこうという腹積もりらしい。

さすがは元ベルガモット王室の皇太子。

世渡りというものをよく分かっている。

あなたは賢いですよ。

「じゃあ、決まりですね」

俺達は改めて、セルテリシアに向き直った。

話はまとまった。

「俺とルルシーとルーチェスは、この場であなたの部下になります。そういうことで良いですよね?」

「はい、勿論…。あなた方の活躍を期待しています」

この素晴らしい「収穫」に、セルテリシアは非常に嬉しそうであった。

本当なら、ついでにルリシヤも加入してくれれば万々歳だったのだろうが…。

まぁ、そこまでは上手く行きませんよね。

それは贅沢というものですよ。

俺とルルシーとルーチェスの三人が抜けるなら、新『青薔薇連合会』派は大きく戦力を損なうことになりますからね。

かつての「お仲間」への慈悲として、ルリシヤくらいは返してあげますよ。

…と思ったけど、そんな慈悲って必要ありますかね?