「…ところで」

と、ルーチェスが片手を上げた。

「ルリシヤさんは却下、ルレイア師匠とルルシーさんは賛成。…で、僕はどうしたら良いんですかね?」

あぁ、確かに。

ルーチェスは身の置き場に困るでしょうね。

「別に、あなたの好きにして良いですよ」

恩のある人々を裏切って、自分の身の安寧の為にセルテリシアにつくなんて最低!と思うなら。

それなら、ルーチェスもルリシヤと同じく、俺とルルシーを見限って『青薔薇連合会』に戻れば良い。

ルーチェスと敵対するのは…気分は良くないですが。

それもルルシーとの居場所を守る為に、必要な犠牲ですよね。

うん、仕方ない。

でも、ルーチェスが逆の道を選ぶなら…。

「…ふむ、じゃあ決めました」

ルーチェスは、夕飯のメニューでも決めるような気軽さで。

「僕はルレイア師匠についていきます。『ブルーローズ・ユニオン』に入りますよ」

あまりにあっさりと、『青薔薇連合会』を裏切ることに決めた。

そうですか。ルーチェスはそうしますか。

正直、ちょっと嬉しい。

ルーチェスがどちらに転ぶかは、俺も予測がつかなかったから。

「良いんですか?」

「えぇ。僕は『青薔薇連合会』に入って日も浅いし、そもそも『青薔薇連合会』に愛着はないんです。ただ、そこにルレイア師匠がいたからついてきたってだけで」

ルーチェスも、動機は俺とほぼ同じらしい。

まぁ、そうですよね。

ルーチェスの場合、自分から『青薔薇連合会』に入ったと言うより…。

彼もベルガモット王家を追い出されて、これから行く場所をどうしようと考えているときに。

何だか外堀を埋められて、半ば成り行き任せで『青薔薇連合会』に入ったようなものだ。

組織そのものへの愛着がないと言われても、全く不思議ではない。