The previous night of the world revolution7~P.D.~

「俺が『青薔薇連合会』に戻る前に、ルルシーもブロテに呼び出されたんですよね」

「あぁ。俺の口からルレイアを説得すれば、聞く耳を持つんじゃないかってな」

「…」

確かに、俺はルルシーの言葉なら素直に聞くけれど。

それにしたって卑怯な女だ。

俺のみならず、ルルシーまで巻き込むとは…。

そういやあいつ、ルアリスにも声をかけてたんだっけ?

それで相手にされなかったから、ついにルルシーに頼もうとした訳か。

「全く、あのときは驚いたよ」

と、アイズが言った。

「驚いた?」

「ルルシーから突然メールが来たんだよ。『帝国自警団の団長に会ってくる』って」

突然、何の脈絡もなくそんなメールが届いたら、そりゃ驚きますね。

「一方的なメールを送ってきただけで、いくら電話で折り返しても出てくれないし…」

「ルルシー先輩はとうとう、ルレイア先輩欠乏症の末期症状を迎えて、自警団の団長に果たし合いを申し込んだのかと思った」

「僕も思いました。それなら僕も誘ってくれれば良かったのに、って」

アイズとルリシヤとルーチェスの三人が、口々に愚痴った。

ルルシーはそれを聞き、ちょっとバツが悪いのか、視線を逸らしていた。

「だって…。事前にお前達に相談したら、止められると思って…」

「そりゃ止めるよ。どんな罠が仕掛けられてるか、分かったものじゃないからね」

俺に関することになると、ルルシーも大概、暴走機関車ですよね。

俺のこと、とやかく言えないじゃないですか。

それもこれも、ルルシーが俺を心配してくれていたからこそ。

それに、ブロテは敵を騙して罠に嵌める…というコスいことをするタイプじゃない。

罠の可能性は考慮しなくて良いだろう。

「ちなみに、俺を説得してくれと言われて…ルルシーは何て言ったんですか?」

「クソ食らえって言ってやったよ」

俺と同じじゃないですか。

あれ?俺達似た者夫婦?

最後の方ブロテが諦めムードだったのは、説得を頼んだルルシーににべもなく断られたからなんだな?

ざまぁ。

ルルシーは俺の味方ですから。

「でもまぁ、そのくそったれな勧誘のお陰か、手荒な扱いは受けませんでしたし…」

「拘束されてたのか?手錠とか…」

「まさか。部屋の中から出られない不自由と、外部に連絡を取れない不自由を除けば、やりたい放題でしたよ」

あと、ルルシーに会えない不自由もな。

それだけで酷い拷問ではあったけど、肉体的な拷問は何もなかった。

『frontier』の曲とか聴いてたし。

ファッション誌も読んだし。

紅茶やお菓子も差し入れしてくれたし。

監禁されているにしては、非常に快適な環境だった。

「そうか…。…それなら良かった」

と、ルルシーはホッと胸を撫で下ろしてあた。

心配かけましたね、本当に。