…ともあれ。

誤解していたのは恥ずかしいが、この誤解が解けて良かったこともある。

それが何かと言うと。

「差し当たり、『青薔薇連合会』の脅威は去ったね」

「うん、そうだね」

シャニーが私に同意し、頷いてくれた。

『青薔薇連合会』が働いている悪事…だと思っていたことは、ことごとく私の勘違いだった。

とすれば、取り急ぎ『青薔薇連合会』を止める必要はなくなった。

少なくとも、帰国してからというもの、私の頭を悩ませていた問題からは解放された。

これは良いことだ。

「勿論、まだ完全に警戒を解く訳にはいかないけど…」

私が誤解していたような悪事は働いていない、と分かったけど。

それでも、『青薔薇連合会』がルティス帝国最大規模のマフィアである事実に変わりはない。

絶えず目を光らせておく必要はある…けれど。

取り急ぎ、差し迫った脅威がある訳ではない。

肩の力を抜いて良いだろう。

「これからは、『青薔薇連合会』を取り締まる…のではなく、彼らを取り締まらずに済むように、常に目を配っておこう」

「分かったよ、ブロテ」

「うん、そうしよう」

仲間達も、次々に頷いた。

誤解していたのは恥ずかしいけど、これで肩の荷が降りた。

帰国してから初めてかもしれない。こんなにホッとしたのは。

今後は、『青薔薇連合会』にこだわらず。

国内の情勢を見極め、帝国自警団として本来の義務を果たすとしよう。







…と、私は思っていたのだけど。

私のこの決定に、納得してもらえない者がいた。

私が事の次第を仲間達に説明し、今後の方針を告げたその直後。

「彼」は、私のもとに直訴しにやって来た。