「呼ばれたんですよ、ルアリスに」

「え…?呼ばれた?」

そう。

先に声を掛けてきたのは、俺ではなくルアリスである。

「『青薔薇十字軍』って知ってます?」

「…十字軍…?」

「かつて革命軍だった組織ですよ」

お前、自警団の団長だろ?

『青薔薇十字軍』くらい知っておけよ。

「その革命軍が、結成10周年を迎えたとかで…ルアリスが個人的に、革命の功労者を国内外から集めて、式典を開いたんですよ」

「…」

「それに呼ばれたから、顔を出しただけです」

そんな理由がなければ、箱庭帝国に足を運んではいない。

ポカーン顔のブロテは、アホみたいな顔でこちらを見つめていたが…。

「じゃ、じゃあ…何でその式典に、幹部組を全員連れて行ったんだ?」

あぁ、そうだっけ。

俺は何故か、幹部組を従えていることになってるんだっけ。

何故そうなったのか。理解に苦しむ。

「別に…特に理由はないですよ。折角だから皆で行こうって話になったから、皆で行ったんです」

「従者として連れて行った訳じゃ…」

「そんな訳ないでしょうが。幹部組は基本的に皆対等ですよ」

強いて言うなら、次期首領であるアイズレンシアだけが、幹部組のリーダー的存在であるけど。

それ以外の幹部は、基本的に皆同じ立場。対等である。

幸いなことに、『青薔薇連合会』の幹部組は。

「自分の方が先輩だから」とか、「自分の方が実力があるから」みたいな下らない理由で、偉そうに振る舞う者は一人もいない。

いやはや、素晴らしい同僚に恵まれて、俺は幸せだ。

で、何故その素晴らしい同僚を、従者として扱ってることになってるんだ?

さっぱり訳が分かりませんね。