いっそこのまま、ブロテは本当のことを何も知らず。

頭パープリンのまま、平和に暮らしてもらおうかなーと思った。

それはそれで幸せなのでは?

ブロテの誤解が解けたところで、俺が悪人である事実に変わりはないし、それを否定するつもりはない。

他人にどのような評価を下されようが、俺は自分の行動を改めるつもりはない。

俺は俺の望むようにやるだけだ。いつだって。

他人の意見になど左右されない。

だから、ブロテにどう思われようと、そんなことには頓着しない。好きにしてくれれば良い。

…でも。

こんな下らない誤解のせいで、今後も拘束されることになったら、面倒の極み。

仕方ない。

口で言って、それで信じるかどうかは分からないが。

ブロテの誤解を解く…その努力くらいはしておくか。

「…あなたが一体何処から、そんなデタラメ情報を仕入れたのかは知りませんけど」

と、俺は言った。

まず一つ目。

「俺は別に、帝国騎士団を脅して金を巻き上げたりなんかしてませんよ」

「…え?」

何とも間抜けだ。

写真に撮っておきたいくらい。

「ベルガモット王家を脅してもいません。まぁ、くそったれローゼリアの一件があったせいで、アルティシア女王に怖がられてるのは事実ですが」

それは、俺がアルティシア女王に何かしたからではない。

アルティシアが勝手に、『青薔薇連合会』を恐れているだけだ。

「何なら、俺はあのアルティシア女王に、まともに会ったこともないんですけど」

「え…。いや…でも」

「でも」じゃねぇ。

「それから…箱庭帝国とシェルドニア王国からも、みかじめ料を巻き上げてる、でしたっけ?」

本当、何処からその情報を仕入れたんだって話。

そんなガセネタ流した馬鹿、ちょっとここに連れてきてくれ。

俺を疑うなんて良い度胸してる。

俺はこんなにも清らかで、清廉潔白な人間なのに。

「適当なことを言わないで欲しいですね。確かに箱庭帝国からは、革命完遂後に謝礼金代わりにお金を受け取ったことはありますが…」

あれは俺が強請ったのではない。

ルアリスが、けじめとして送りつけてきたのだ。

断る理由もないので受け取っただけ。

「で、でも…。それじゃあ、どうして箱庭帝国に行ったんだ?」

「あ?」

「幹部組を何人も従えて、箱庭帝国に押しかけたって…報告が…」

誰だよ。そんな報告した奴は。

俺に悪意でもあるのか?…あったんだろうな。

頭から「ルレイアが怪しい」と思ってるもんだから、俺が何をしても、悪事に結びつけているんだろう。

全く失礼な話だ。

「確かに最近、箱庭帝国に行きましたよ」

まだまだ記憶に新しい出来事だ。

しかし、それは俺が勝手に箱庭帝国に押しかけた訳ではない。

言うまでもないが。