「…それで?この後はどうします?」

まだ諦めずに、俺を監禁して説得してみるか?

それとも、シェルドニア王国のように…洗脳してまで俺を操り人形にするか?

あるいは…。

「とても口惜しいけど…このままだと、君を解放することになりそうだね」

ほう。

「保護」期間が終わっても、別の制度を使って監禁を継続する意志はないらしい。

「意外と諦め早いですね」

俺としては助かる。

だってこれ以上監禁生活が続いたら、ルルシー欠乏症でマジで死ぬ。

「そんなことはないよ。君を解放する前に…最後にもう一度、説得させて欲しい」

ブロテは真剣な眼差しで言った。

俺の目を真っ直ぐに見つめて。

「『青薔薇連合会』をやめて、裏の世界から足を洗って、帝国自警団に入るつもりは、」

「ありません。さっさと解放してください」

まだ言い切ってもないのに、ブロテの戯言を遮るように即答した。

何百回、何千回言ったって無駄だぞ。

俺の気は変わらない。

「…どうしても?」

「どうしてもです」

「…そう…。そう言うだろうと思ってたけど、残念だよ」

それはお気の毒。

その程度で俺が心を入れ替えるだろう…なんて、甘い見積もり立ててた自分を恨んでくれ。

「…分かった。そこまで言うなら…私も諦めるよ。それほど意志が固いなら…君の幸福はきっと『青薔薇連合会』にあるんだろう」

と、ブロテは言った。

間違ってはないけど、一つ訂正するとしたら。

俺の幸福は『青薔薇連合会』ではなく、ルルシーの隣にあるのだ。

「帝国自警団に寝返れ、とは言わない。だけど…これだけは言わせて欲しい」

まだ何かあるのかよ。

諦めるじゃなかったのか?きっぱり全部諦めろよ。

「帝国騎士団や箱庭帝国、それにシェルドニア王国から手を引いて欲しいんだ」

「…」

…は?

真剣な顔をして、こいつは何を言い出すのか…。