「俺の知る限り、『青薔薇連合会』にいる者は皆、世界も人も何物も、自分を助けてはくれなかった」

本当に苦しいとき。傷ついているとき。

もう立ち上がれないってほどに打ちのめされて、毎日が地獄のように辛くて。

そんなとき、誰かが自分を助けてくれたか?

世界はそんなに甘くない。誰も助けてなどくれない。

俺達の不幸を横目に、自分に関係がないならそれで良いとばかりに、無関心で通り過ぎるだけ。

あるいは、見て見ぬ振りをして逃げ去るだけだ。

自分さえ幸せならそれで良い。そう思うのは人の本質だ。

自分で何とかする以外に、誰が自分を助けてくれると言うんだ?

少なくとも、俺の育ったスラム街では、三歳児でも知っていることだったぞ。

他人は何もしてくれない。運命は自分を助けてはくれないと。

だからこそ、俺達は絶望の中で苦しみ続けたのだ。

「何も知らないで、甘いことを言うな。誰の助けもなく、誰からも忘れられて死んでいった者がどれほどいると思ってるんだ」

「…それは…」

今もそう。裏の世界にはいつでも、掃いて捨てるほどいる。

騙され、捨てられ、忘れられ、朽ち果てていく人々が。

…かつての俺もそうだった。

『青薔薇連合会』に拾われなかったら、今頃生きていなかっただろう。