「その代わり…二度とこのような事態が起きないよう、テナイ・バールレン卿が目を光らせておくと約束してくれた」

と、ルシード。

その代わりって、それは代わりにはなっていない。

「それで、全て流してくれって?それで納得しろと?」

「…ルティス帝国と、『青薔薇連合会』には…多大な迷惑をかけた。賠償はきっちり行うと、主から聞いている」

つまり、金払うから、何もかもなかったことにしてくれと。

…舐められたもんだ。

「…どうします?アイズ」

俺はアイズに話を振った。

個人的には、その程度の償いで許すのはどうかと思うけど。

許すか許さないかを決めるのは、俺じゃなくてアイズだから。

「…」

アイズは、しばし無言で考えていた。

…そして。

「…良いよ。今回は目を瞑ってあげる」

…やっぱりそう言うか。

アイズなら、そうだと思った。

アシュトーリアさんが前言ってたけど、アイズは欲張りですからね。

「アイズ…。良いの?」

シュノさんが、心配そうな顔で尋ねた。

「良いよ。…その代わり、次はない。分かってると思うけど」

「…あぁ、勿論だ」

「それから…誤解しないで欲しいけど、私は君達を許した訳じゃない」

ほらね。

そうだろうと思った。