「…とりあえず、全部没収だ」 

ルルシーは、そう言うなり。

シェルドニアジゴクザラメボールと、超小型サマーバケーションボールを取り上げた。

あぁっ、酷い。

「ちょっとルルシー!それはルリシヤの最高傑作…」

「うるせぇ。お前ら馬鹿か?他国の大使にこんなもんぶん投げて、国際問題に発展したらどうするんだよ?悪戯じゃ済まないんだぞ」

え?

国際問題?シェルドニア王国と?

ルリシヤのカラーボール投げつけたくらいで?ないない。

アシミムの髪の毛を刈り上げたとしても、奴らは俺達に逆らえないだろう。

それだけ、貸しをたくさん作ってありますから。

でも、まぁ…良いか。

ルルシーがそこまで言うなら…。

「分かりましたよ、もー…。今回はルルシーに免じて、見逃してあげますよ」

「何で上から目線なんだよ、お前は…」

何日も前から考えていた悪戯が、不発に終わってつまらないけど。

ルルシーの為ですからね。今回は許してやろう。

俺って心広いなぁ。

…でも。

「…紅茶に塩混ぜるくらいは、許されますよね?」

「…小学生か」

少年の心を持っている、と言ってください。

塩入りの紅茶を飲んで、ルシードがどんな反応をするか…見てみたくないですか?

俺は見てみたい。

そして、その瞬間の顔を写真に撮って、10秒くらい笑い飛ばして、その後消去する。

それなのに。

「駄目だ、悪戯禁止。分かったな?」

ルルシーは、そんな釣れないお返事。

「えー…」

「不満を言うな」

ルルシーったらお堅いんだから。

もう少し遊び心があっても、悪くないと思うんだけどなぁ。

…ま、いっか。

ルルシーに免じて、紅茶に塩も勘弁してあげますよ。

俺ってなんて優しい。お釈迦様もびっくりですね。