文書での報告ではなく、わざわざ腹心を寄越して、口頭で伝えさせるとは。

あれでアシミムも、今回の件では責任を感じてるってことなんだろう。

と言うか、ルレイアの機嫌を損ねるのが怖いのかもな。

アシミムも、ルレイアに散々な目に遭わされてる訳だから。

自業自得なんだけどな。

「折角だから空港に迎えに行って、カラーボールで歓迎してあげようと思ったんですよ」

ルレイアは残念そうにそう言った。

そういうことを「歓迎」とは言わないんだよ。

あと、空港でやるな。他の乗客と、空港で働いている人に大迷惑。

「ルシードは、『青薔薇連合会』に直接来るのか?」

「そう聞いてますけど」

「…なかなかの度胸だな」

アシミムの腹心とはいえ、マフィアの本拠地に単身乗り込むとは。

かなり勇気が要るんじゃないか。

…そう思ったが、しかし。

「大丈夫ですよ、そのくらい」

ルレイアは、このあっけらかんとした返事。

「何が大丈夫なんだよ?」

「だって、ルリシヤもルーチェスも、最初に会ったときは『青薔薇連合会』に単身乗り込んできたでしょう?」

「…」

…そういえばそうだったな。

いや、あいつらは特別だから。

心臓に豪毛生えてるような奴らと一緒にしてやるなよ。ルシードが可哀想だろ。

「何。俺達とて、カラーボールを投げる気はあったが、敵対するつもりはない」

と、ルリシヤが言った。

一般的には、出合い頭に挨拶代わりに激辛カラーボールを投げるという行為は、敵対以外の何物でもない。

「ここはシェルドニア王国の流儀に従い…平和的に事を解決しようじゃないか」

「…平和的に…ねぇ」

ルレイアがいる以上、それは無理なんじゃないかと思うけどな。