「……いや、今はなしだ。ちゃんと正々堂々勝負する」
ここでずるい手を使ったら、薫と同じになりそうで、それは俺のプライドが許さない。
「今はなし……千歳が言うなら従うか」
氷兎の言葉に頷く後ろの2人。
「おい、お前」
「な、なんだ」
「薫に伝言だ。正々堂々やってやるから2日後、あの公園に来い、とな」
「わ、分かった」
そう言って寮の方に走っていくのを見てから、踵を返す。
「ね〜千歳くん。あの公園って何〜?」
ふわふわと聞いてくるなゆ。
こいつ、あんまりこのことについて興味無さそうだな……。
「昔、よく遊びに行ってたとこ」
自動販売機でコーヒーを買いながら答える。
ちなみに俺と薫、緋と朱奈以外は知らない。