【千歳side】
今日は薫との約束の日だった。
「はあああああぁぁぁ………」
「随分と長いため息だな、千歳」
『黒』に向かう途中。
海咲が何か言ってきた。
「何かあるのか」
「あるに決まってんだろ」
「も〜、海咲くんはわかってないなぁ。どーせ緋ちゃんと居られないからでしょ」
「こいつの事だし、それ以外ねえだろ」
氷兎の言葉にちょっとイラッとする。
「それ以外もあるっつーの」
「じゃあ千歳くんが悩んでることってなんなの?」
「……薫のことだよ」
そう。
あいつとは一生仲良くなれる気がしない。
なろうとも思わないが。
「それが何か問題なのか?お前なら簡単に制圧できるだろ」
「違う。……あいつ、遅刻ぐせが酷いんだよ」
「あー……そーゆーことね」
あははと笑うなゆ。
ほんとにシャレにならないんだよな、これが。
「なあ、これいなかったらどうするんだ」
「諦めて帰る」
俺が即答すると、氷兎があからさまに嫌そうな顔をする。
「もう少し待つっていうのはお前の頭にないのか」
「ない」
そんな会話をしているうちに、『黒』の校門前にたどり着く。