力、強すぎ……!
ごそごそと動く私に気づいた三島さんが声をかけてくれた。
「あれぇ?緋ちゃん何してるの?」
「千歳の腕の中から抜け出したいんですけど、力、強くて……」
「起こしちゃえば?」
「うーん。なんだか、それはかわいそう?な気がして」
「そんなの関係ねえだろ」
と横から鈴宮さんの声。
そういうものなのかなぁ。
「まあ、だが、そいつはそんなのでも総長だ。力だけは強いからな。起こさず抜け出そうというのはあきらめたほうがいいぞ」
という入江さんの言葉に、思い直す。
そうだった。
千歳は総長さまだった。
「というか、なんで抜け出そうとするの?」
なんでって……。