そう思うと同時に、トクッと何かが音を立てて動いた。
あ……。
これ、何……っ?
さっきまで耳が壊れそうなほど聞こえてきた音がすうっと遠ざかる。
千歳と自分だけになったみたいな空間で。
私の、心臓……?の音だけが、やけに響いて。
だ、だめっ。
気づかないふりをしていたかったのに。
忘れていたかったのに。
自分の体温が上がるのが分かった。
体は熱くなっているのに、頭は冷静で。
……っ、もう、だめだ。
これ以上、自分に嘘をつき続けるのは。
朱奈ちゃんが好きだから、なんて、逃げてるだけだよね。
私は……
―――――――千歳のことが、好きなんだ。