だめ、これ以上は……っ。
「離し…て」
「……」
私の言うことなんて聞かずに、どんどんキスが深くなっていく。
「お、お仕事ある…からっ」
ちょっと強引に引き剥がす。
「……わかった。けど、夜、覚えとけよ?」
一瞬不満げな顔をしてから、にやりと不敵な笑みを浮かべる千歳を見て、サーっと血の気が引く。
ど、どうしよう……。
変なスイッチ入れちゃったよぉっ……!
車に乗ってからしばらくすると『白』の寮に着いた。
エレベーターの中で千歳が珍しくため息をついていた。
「千歳…大丈夫?疲れてるの?」
「大丈夫。気にすんな」
ふわっと微笑む姿も、いつもとどこか違う気がする。
気にすんな、って……。
そういうときって、大体大丈夫じゃないんだよ……。