「あっ!」



なんでこんな時につまづくのっ。


女の子たちの黄色い声で消えてしまいそうな程の大きさだったけど、千歳がそれを聞き逃すわけもなく。


倒れそうになったところを支えてくれる。



「緋発見。つーかまーえた」


「ち、千歳っ。みんな見てるから離し…んう!」



口を塞がれた。


しかも。



「あんまり暴れると……ここでキスしちゃうよ?」



と耳元で囁かれる。


あまりにかっこいい声だったから、ビクッと反応してしまう。



「あれ、耳、弱い?」


「弱くなんか……」



ないよっと言おうとすると、フーっと息を吹きかけられて「ひゃうっ」と声が出る。



「かーわい。キスされたくないなら行くよ」



と半分脅されて昨日も乗った黒い車へ。