鈴ちゃんと帰りたいけど、行かなかったら千歳に怒られちゃいそう。
「……ごめんね。今日行かないといけないところがあるから」
「そっか。でもまた今度一緒に帰ろうね」
嫌な顔ひとつせず、答えてくれる鈴ちゃん。
やっぱり鈴ちゃんのこと大好きだっ。
「ありがと、鈴ちゃんっ。大好きー!」
「かっわいいなあ、緋お」
ぎゅーっと抱きつくと、ワシャワシャと頭を撫でてくれる。
昇降口を出ると、校門のところに人だかりが出来ていた。
その後ろに少しだけ見える、黒く輝く車が見えて、嫌な予感がした。
ま、まさか……いやそんなことは、ないよね。
でも気になってそーっと覗いてみると、たくさんの女の子達より頭1つ分くらい高い男子生徒が見えた。
……逃げよう。
千歳の視線を避けながらあと少しで校門から出られるというときに。