「鈴ちゃんっ。おはよう」
「あーっもうこの子はほんとに毎日いつでもかわいいわぁ」
かわいいのは鈴ちゃんのほうなんだけど、言われるとちょっと照れるな……えへへ。
この子は内森鈴ちゃん。
中学校の時からの大事な友達。
長く伸ばしたきれいな黒髪に大きな黄金色の瞳。
私がドジをしても、助けてくれるもう一人のお姉ちゃんみたいな頼れる子。
「そういえばさ」
教室に着いて、荷物を置いたときに鈴ちゃんが話し始めた。
「昨日生徒会の副会長、というか『白』の姫の発表だったんだって」
うっ。
「そ、そうなんだ」(棒)
「昨日聞きそびれたんだよね。誰だったんだろ」
鈴ちゃんだったら言ってもいいかな……。
どうするか悩みながら荷物を片付けていると、近くの女の子の小さな声の会話が聞こえてきた。
「姫になれた三神さんいいなあ」
「確かに。でもさ、鳴沢さんが怖いよね」
「ずーっと千歳様のこと追いかけてたし、自分が一番ふさわしいって去年から言ってたもんね」
ひえっ。
「緋?なんか顔色悪くない?」
鈴ちゃんに言われてはっとする。