「む、むりだよ千歳。私こんな部屋使わせてもらうわけには……」


「混乱してるところ悪いが、姫になったら、絶対にここを使うというルールがある」



と入江さん。



うっ……。


ルール、かぁ。


……なら仕方ないかな。


ごめんね、朱奈ちゃん……!



「じゃあ、あとは俺が案内するから、海咲は帰っていいよ」



なんか言葉のところどころに、「さっさと帰れ」っていうのが入ってる気が……そんな冷たくしなくても。



「はぁ……。わかった。でも、やりすぎるなよ」


「へーへー」


「緋。何かあったら呼ぶんだぞ」



あははっと苦笑いするしかできない。


入江さんの姿が見えなくなると、すぐに千歳が抱きついてくる。


なぁっ……!



「ようやく二人っきりになれた……海咲のやつ、さっさと戻ればいいのに」


「ち、千歳。離して、お部屋案内してよ」


「……このまま俺の部屋来ない?」