かわいくはない。
というか、ほっぺたすりすりしてこないでよっ。
「……おい、千歳、一回止まれ。強引すぎないか?しかも、まだやることあるだろ」
「だいじょぶ、だいじょぶ」
全然大丈夫じゃない!
「緋、生徒会寮まで案内する。ついてこい」
入江さんにそう言われて立ち上がろうとする。
が、千歳が腕を話してくれない為、バランスを崩しかける。
「ち、千歳。離してっ」
「はあ…千歳。離してやれ。それともお前も来るか?」
「行く」
そう言って立ち上がる。
なんか、入江さんて苦労人そう……。
「またあとでね~緋ちゃん」
「……さっさといけ」
三島さんは手を振りながら、鈴宮さんはスマホを触りながら言う。
軽く手を振って、千歳のほうを向く。
寮の部屋に向かいながら思う。
私は、とんでもない所へ足を踏み入れてしまったなと。