謎の沈黙が流れて、海咲が話し始めた。



「千歳の弟……」


「千春でいいですよ」


「なら千春とやら、お前は緋のいる場所を知っているか?」


「うん。俺は知ってる」



な……!



「千春、案内してくれないか!?」



俺が食いつくのがわかっていたかのように笑った千春。


「いいよ、兄さんのためだしね」


「っ!ありがとな、千春」



運良く知ってて、しかも俺たちに協力してくれるやつ、居たな。



「うわ……千歳、こんな顔すんの……」


「というわけで殴るなよ、氷兎」


「チッ……バレたか……」


「じゃあ着いてきて。ちょっと飛ばしていくから気をつけてね」



そう言うと何をするかと思えば天井に手を伸ばして、どこからか出てきた紐を引っ張った。



「え、そっち?」


「そっちってどういうこと?」


「兄さん達。置いてっちゃうよ?」


「あっ、千春待て!」



梯子を登ると身長が高い海咲やなゆですら余裕で通れる通路があった。


最初、階段を降りるの長いなと思ったらこの通路の高さがあったのか……。