よく見ると『黒』の制服を着ていた。
「……ッチ。先やられた……」
そういえば氷兎と勝負してたんだったか。
勝ったら緋、褒めてくれないかな。
時々邪魔してくる『黒』のヤツらを倒していると、気づいたら寮に着いてしまった。
ちなみにまだ俺の方が倒した数は多い。
俺の身長の2倍ぐらいある扉を開けようと思いっきり引っ張るとガッという引っかかる音がした。
……鍵でもかかってるのか?
「ぶっ壊すか」
「いや、押す方じゃないの」
氷兎に言われた通りにするのは癪というかなんというか……。
実際にやってみるが、さっきより少ししか動かない。
引き戸で鍵がかかってるだけか。
……なんか暴れすぎたら逆に緋に怒られそう。
少しそう思って、扉を壊そうとするのを躊躇した。
怒った顔もかわいいから見たいなぁ。
なんて考えていると、氷兎が引いた目で見てきた。
「……きっしょ」
「なにがだよ」
「にやにやしてるのが」
好きなんだからしょうがねえだろ。
あー、やっぱり早く会いたいから壊すか。
なんて考えている間にごぉんっと重い音が聞こえた。
「何悩んでんだ。さっさと行くぞ」
氷兎が扉を壊した音だった。
……こいつは人だろうとものだろうと手を出してないと落ち着かないのか?
とりあえず緋!!
俺は確か1階担当だったから探すか。