【Side千歳】


俺は、無力だな……。


緋が泣き続けているのに、どうすることもできないなんて。


もう、2〜3時間は過ぎている。



「……ぁっ……ぅ………………」



声が、しなくなった。



「緋っ!?」



ドアを開けると、気を失っている緋がいた。


緋にはこの話をするべきじゃなかったな。


今の緋は、触れた瞬間に崩れ落ちてしまいそうだ。


ベッドに運ぶ。


頬に触れると冷たくて、俺まで凍ってしまいそうだった。


緋……ごめん……。



もう、緋を壊さないでくれ。



神様なんて信じてはいないけど。


今だけは、神に向かってそう願った。