「わかった。いいよ、それでいこう」
「ありがとう」
小松先輩と斑の話が終わったところで、集合がかかった。
みんながホールの中央に集まる。
演者に裏方スタッフ、ここにはいないけれど広報物を作ってくれた宣伝班。
集まるとよくわかる。
たくさんの人がこの劇に関わっているんだなって。
それも、ただ関わっているわけじゃない。
今日この瞬間を迎えるまで、最優秀作品賞という大きな目標に向かって、みんながずっと同じ方向を向いていた。
それってほんとにすごいことだと思う。
モチベーションを保ちつづけること自体、大変なことなのに、みんなが同じ気持ちを持ちつづけた。
妃崎先輩は『西組はほかに比べて弱い』と言っていたけれど。向上心がなくて、チームに貢献しようという気持ちも薄っぺらいと。
本当にそうなら同じ目標に向かえない。
それどころか、バラバラのまま今日を迎えていただろう。
だけど、そうはならなかった。
きっとみんな、だれかのために頑張れる人なんだ。
だから、目標に向かって一丸となれたんだと思う。