「だから、安心して演じろ」

「……うん」


斑が手を握ってきた。


『だれにも渡さない』って言葉と同じくらい強い力が込められている。


どうして斑がくれる“言葉”は、こんなにも嬉しいんだろう。


わたしが斑を好きだから?


好きな人の言葉はどんなものでも宝物になるから、嬉しいの?


……それだけじゃない気がする。


クールでニヒルでマイペース。やりたいことは、意思表示するよりもさきに行動に移している。


だから、普段なにを考えているのかわかりづらい。一緒にいてもわからない。


わからなくて、惑わされたり不安に思ったり。いつも心がふり回される。


……でも。だからこそなのかな。


そんな人が伝えてくれる言葉には、無条件で信じられるまっすぐさがある。


そんなことを思ってくれていたんだって、答えあわせができたみたいで2倍嬉しい。


いいんだ。いくらふり回されたっていい。


わたしはわたしのやりたいように、思うように動こう。


心が動くままに。


もうなにも考えない。
ほかの人は関係ない。


斑を好きだって想っていればいいだけだ。