中学2年生の時、遥のお母さん、つまり小学5年生まで一緒に暮らしていたお父さんの元恋人と街で偶然再会した。

　ちょうどお昼ご飯の時間だったから、近くの喫茶店で一緒に食べようと誘われた。

「はるちゃん、七海学園受験するのよ」

　私立七海学園高等学校。
　すでに僕達の学年では、その学校の話が話題になっていた。

　相性ピッタリの見知らぬ誰かとカップルになって、世界一の結婚をする。そして選ばれたカップルは社長になるという噂の学校。

　そんな学校に、遥が入学する。

　将来のことなんて、まだ考えていなかったし、高校なんて適当にどこかレベルの合った場所に行ければいいかななんて思っていた。

　けれどその話を聞いた時、遥が入学して、いじわるな人とカップルになったりして傷ついたりしたら嫌だなって最初に思った。

　自分とはカップルにはなれないけれど、他の男の子とカップルになるのを想像しただけで心が痛くなって、どうにか出来るわけではないけれど、どうにかしたいなって……。