「嘘つき、泣いてる」
「な、泣い……っ」
野村くんは私の正面に立ってゆっくり近づいてくれた。
頭を持って自分の胸に付けてくれる。
「触っていいの?」
「いいよ」
菜摘は大冴の体に両手を回した。
「ふぇっ……ヒクッ……」
なるべく声を押さえて泣いた。
髪の毛をなでてくれる
野村くんの意外な行動だ。
野村くんはゆっくりそのまま枕の方へ移動して隣に座った。
乱れた髪の毛を耳にかけてくれる。
「……野村くん」
「ん?」
「もしかして図書室で耳にかけてくれた?」
「あっ……ごめん、寝てるか確認した」
枕元に置いてあったティッシュを出して頬を拭いてくれた。
「……ありがとう」
「綺麗な髪がボサボサ」
ほどけかけになっていたゴムを外して手ぐしで整えてくれる。
「慣れてる?」
「まあ、よくアネキにやらされる」
「今度髪の毛切ってくれる人?」
「そう、ごめんな、わがままなアネキで」
「ううん」
もう1枚ティッシュを渡してくれて涙を拭いた。
「もう大丈夫……ありがとう、ごめんね体操服」
「もう着替えるから大丈夫、歩ける?」
「うん」
手を持ってくれた。