そう言うと陽平は保健室から出ていった。




菜摘は服を直しカーテンを閉めた。



涙が出てきて鼻水をすする音だけが保健室に響く。


何で今頃……陽平は明るくて付き合ってても楽しかったのに


初めてのHも優しかったのに


私が怒った事がそんな風に思われてたなんて




「和田?いる?」


ボーッと鼻だけすすっていた菜摘はドアがゆっくり開いたのに気づかなかった。


この声……

「野村くん?」


「うん、開けていい?」

「やだ……ぐすっ」


やっぱり泣いてる。


「教室にいないからここかなって、派手に転げたから」



「派手じゃない」


「ごめん」



「謝らなくていい」


「ごめん、あっ」


謝ってる……

「ふふっ、こっちこそごめん」



「怪我は?」


「大……丈夫」


「じゃあ、何で泣いてる?」



「な、泣いて……ぐすっ……ない」


「開けるよ」


シャッとレールカーテンが開いてすぐ閉じられた。