「本当はさ、長い女の子の髪をカットしたいんだけど、誰かいない?」
瞬弥と大冴は目を合わせた。
瞬弥には2人、大冴には1人浮かんだ。
「いることはいるけど、真広の腕は大丈夫かなって」
「卒業の年だよ、大丈夫だよ」
話してみると瞬弥は言って先に出た。
大冴が湯船から出る。
「俺は無理、瞬弥に任す」
「そうだろうねぇ」
「暑くなってきたから少し短くして」
「うん、わかった」
金曜日
「はぁ……」
つまんない……
菜摘の席は1番後ろ
野村くんの席は空席
私ってこんなに野村くんの背中を見ていたのかな
「失礼します」
昼休みに後ろのドアから女の子が立っていた。
「野村くんいますか?」
「どちらの?」
2人いるから当然聞く
「大冴くん」
「お休みですよ」
「じゃあ、瞬弥くんは?」
「多分グラウンドでサッカーやってると思います」
「ありがとうございました、あれ?」
「何か」
「この前瞬弥くんともいましたし、大冴くんとも廊下で歩いていた人ですよね」
何?この人……
「2人ともクラスメイトですから用があれば廊下くらい歩きます」
「大冴くんなんて滅多に歩いてくれませんよ、私以外は……じゃあ失礼しましたー」
はぁ?私以外って何よ、自信ありげじゃない