「別に教室にいるだろ」


「人がいたら話してくれないじゃない、昨日の帰りだって……冷たすぎる」

菜摘は少し拗ねた言い方をする。



「ごめん、昨日はちょっとイライラしてた」


「人に当たっちゃダメじゃん」


「……うん」


「ご飯たべていいよ」


「あっ、うん」


大冴はお弁当箱を開けた。


菜摘は身を乗り出して覗いている。


「美味しそう」


キラキラした目でお弁当を見ている。

昼食べてないのか?


「何かいる?」


「卵焼き、あーん」


卵焼きを菜摘の口に入れて自分も食べ始めた。



モグモグ……

「しょう油味だね、私もこんな感じ、野村くんの好み?」


「弁当は……瞬弥と俺はばあちゃんが作ってくれる……」



「へぇーおばあちゃんがいるんだ」



「瞬弥と俺が従兄弟なのは知ってる?」


「うん、家も隣なんでしょ」


「瞬弥は甘い卵焼き」


「味の違うの2つも作るの大変だよ」


「モグモグ……でも作ってくれる」


菜摘は卵焼きを食べ終えるとまた覗いてた。


「キンピラも食べたい」


「えー、1番好きなおかず」


「あーん」


渋々口に入れてあげた。


「んっ、おいし!」

「だろ?メシが進む」


「あと1個」



視線でわかったようで菜摘は口を開けて待っている。



肉巻きを口にした。


「甘辛、美味し〜おばあちゃん料理上手だね、教わりたいよ」


「弁当自分で入れてんの?」


「うん、料理は私がほとんど作るよ」



「偉いな」


大冴はお弁当箱を閉めて両手を合わせた。


礼儀がちゃんとしてる……菜摘はじっと見ていた。