「全く頑固だなぁ、俺みたい(笑)」


「素直になれないもん」


「素直になる時あんのかよ」


「そっちこそ」



「フッ、いつもお前とはこうなる」


本当だ……

「……ごめん」



「おっ、素直になった」



大冴に両手を回してギュッと抱きついた。



「私、帰るって言ったのに引き戻したのは大冴くんなんだからね」



「そうだけど何か言いたいことがあるんじゃないかなって、部活の事だけ?」



「……そうだよ」



「ふ〜ん」



と言いながら髪の毛をなでてくれる



「ねぇ、県大会見に行っちゃダメ?」



「学校からプリントが配られてたからダメとはいえないけど俺、観客席は見ない」




「気が向いたら行くことにするわ」



大冴くんは髪を少量ずつ触りだした



「伸びたでしょ、また真広さんに揃えてもらわなきゃ」



「うん」



菜摘は顔を上げて大冴を見つめた。



髪の毛を耳にかけてくれる



「ねぇ……キスして」


言ってしまった……

大冴くんはびっくりした様子もなくごめんと言って頭をなでる


やだ、やっぱり泣きそうになる

「……帰るね、試合頑張って」


菜摘は起き上がると走って階段を降りていった。


やっぱり言うんじゃなかった

期待した私がバカだった……