「もしかしてこれ手作り?」

「はい、学校から帰ってから作りました」

「じゃあ、コンビニに用はないだろ?夜は危ないよ、さっきみたいに付いてこられたらどうすんのさ」


あっ……

「すみません……でもコンビニスイーツも好きで...参考にして作ったり」


「学校帰りで良くない?」

「あっ……そう...ですよね」



菜穂は下向いて言葉が出なくなった。

ど、どうしよう...何か言わなきゃ


「ん?何か中に……」

「えっ、嘘!ごめんなさい、出して下さい」


菜穂は瞬弥の口の前に両手を広げた。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

下を向いて謝る

どうしよう……何か入っちゃったのかな



菜穂の手がふわっと包まれた。



「ごめん、嘘」

ペロッと舌を出した

「何も入ってないよ、本当に美味しかった」



瞬弥くんに手を持たれたまま力が抜けてしゃがみこんでしまった。


「よかっ、よかった……」

また涙が溢れてくる。


またその涙を拭ってくれる。


「ずっと下向いてるからさ、顔を上げてもらおうと思って嘘ついちゃった……泣くとは思わなかったな、ごめんね」



しゃがんだままの菜穂を瞬弥は優しくハグをした。