大冴は席を立った。
「大冴?」
「トイレ」
大冴がトイレから出てくると本を手に持っていた有里に会った。
「読むの早くない?」
「そうかな(笑)」
「完全に抜かれた」
「抜きました(笑)」
菜摘は窓から見ていた。
大冴くんが有里と歩いてる…
本好きの有里とも話せるんだね
教室に入ると有里は真っ直ぐ菜摘の席に来て
「菜摘、今日体育委員会があるんだけどさ、代わりに行けない?」と……
「んーいいけど、何で?」
「この前の古文の小テスト悪かったからもう1回って言われた」
「じゃあ、瞬弥くんに言っとく」
お願いと言って自分の席に戻る。
「体育祭終わって県大会終わったらすぐ期末テストだね」
「麻耶〜今回やばいかも」
「私だってだよ」
昼休みのサッカーを終えて瞬弥くんが教室に戻ってきた。
「あちぃ〜」
「当たり前だ」
大冴の机に横から手が置かれるのが見えた。