「姫香!!」

「姫香ちゃん!!」

取り乱した様子で庄司が駆け寄り、ストレッチャーの上に寝かされた姫香と同じ制服を着た男性二人と女性一人も名前を呼ぶ。

「黒田先生と友達の皆さんはこちらへ」

ヨハンと看護師が姫香から庄司たちを引き離し、桜士と一花、そして看護師数人が姫香の元に集まり、ストレッチャーから診察台へと乗せ替える。

「一、ニ、三!!」

掛け声を合わせ、台の上に乗せた。姫香の呼吸は苦しそうだ。意識も朦朧としているように見える。桜士は姫香の肩を少し強めに叩く。

「黒田さん、わかりますか?病院に着きましたよ!今から診察しますね!」

姫香からは何の返答もなく、ただ苦しげな呼吸音だけが響いている。一花がアドレナリンを取り出し、言った。

「彼女、アナフィラキシーショックを起こしていますね」

アナフィラキシーショックとは、アレルゲンが体内に入ることによって、複数の臓器や全身にアレルギー症状が表れ、命に危険が生じ得る過敏な反応が出ることである。