その時、庄司が再び大きなため息を吐いた。十六歳の一人娘である姫香(ひめか)との関係があまりよくないらしい。

「母親には話しかけたり、自分の予定を話したりするのに、俺には一切話しかけてこないし、予定も教えてくれない。俺が母親から聞いて、「明日バイトなんだろ」って話しかけたら、返ってくるのは「何で知ってるの?キモいんだけど」だ。昔はあんな子じゃなかったのに……!!」

今にも泣きそうな顔をしている庄司に、桜士と一花とヨハンは顔を見合わせる。全員困り顔だ。ちなみに看護師たちは見て見ぬ振りを決め込んでいるようで、自分たちの仕事に取り掛かっている。

「俺なりに頑張ってきたのになぁ……。そりゃあ、こんな仕事だから運動会とかピアノの発表会に毎回行けたわけじゃないけど、褒めたりレストランに連れて行ったりしてたのに……」

ウジウジと庄司は机に突っ伏しながら言う。どうやら、昨日も姫香と喧嘩になったようだ。全身から漂ってくるオーラが暗い。